小さな子どもの定期接種は種類や回数が多く、スケジュールがとても複雑ですよね。
日本の定期接種の中には、海外渡航に推奨されているワクチンが含まれているものもあります。
しかし、渡航先で推奨(または必須)とされている予防接種が、日本の定期接種に含まれていない場合、渡航前に接種しておく必要があります。
また、お子さんの年齢が日本の予防接種スケジュールでは間に合わない場合は、海外で接種したり一時帰国を利用して接種したりする必要があります。
この記事では、
についてお話ししたいと思います!
海外渡航の予防接種
予防接種 | 対象 | 定期接種 |
---|---|---|
黄熱 | 感染リスクのある地域(主にアフリカ・南アメリカ)に渡航する人 入国に際して証明書の提示を求める国へ渡航する人 |
× |
A型肝炎 | 流行地域に渡航する人 | × |
B型肝炎 | 血液や体液に接触する可能性のある人 | ○ |
破傷風 | 渡航先の仕事や辺境地への旅行などでケガをする可能性がある人 | 〇 |
狂犬病 | 動物研究者など、動物と直接接触する人 イヌやキツネ、コウモリなどの哺乳動物が多い地域へ行く人で、特に 医療アクセスがよくない地域へ行く人 |
× |
ポリオ | 流行地域に渡航する人 | ○ |
日本脳炎 | 流行地域(東南アジア・豪州など)に長期滞在する人 | 〇 |
麻しん風しん | 疾患への免疫が不十分な人 | ○ |
インフルエンザ | 流行時期または流行地域に渡航する人 | △ |
髄膜炎菌 | 流行地域(主にアフリカ)に渡航する人 | × |
(引用:厚生労働省 海外渡航のためのワクチン(予防接種))
海外でも推奨されている日本の定期予防接種は
- B型肝炎
- BCG(結核)
- DPT-IPV(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)
- 麻疹・風疹(MR)
- 日本脳炎
これらのワクチンが、無料で受けられます。
乳幼児が海外渡航する時には、日本国内の定期接種に加えて、例として
- 黄熱病:アフリカや南米の特定地域で義務付けられていることがある
- A型肝炎:衛生状態が悪い地域に渡航する際に推奨
- 狂犬病:特に犬や野生動物と接触する可能性がある地域で推奨
- 腸チフス:清潔な飲料水や食物が保証されていない地域で推奨
のような地域特有の感染症に対し、さらに予防接種が必要な場合があります。
これらの予防接種は、海外渡航のためのワクチン (forth.go.jp)のサイトで出発前に確認し、早めに受けることが推奨されます。
また、多くの国で入国時に予防接種証明書(例:黄熱病)が必要とされる場合があるため、しっかりと準備することが重要です。
海外渡航の予防接種は、一般の小児科では取り扱っておりません。
国内トラベルクリニックリスト (umin.jp)のサイトから近隣の対応可能な医療機関を探してみてください。
予防接種スケジュールについて
(引用:日本小児科学会 日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール)
こちらのスケジュールは小児科学会が推奨する予防接種スケジュールになります。
定期接種および任意接種には
- 推奨期間
- 接種可能な期間
の2つの期間があります。
推奨期間というのはあくまで「推奨」であり、必ずこの期間に打たなければいけないわけではないです。
接種可能な期間内であれば、時期を前倒しをしても遅らせても問題ありません。
渡航前に接種する
上記の通り、赤ちゃんの予防接種スケジュールは結構複雑です。
そのうえ海外では、日本ほど整っていない環境で医療を受けることになります。
そのため、乳幼児の予防接種は
ことが重要です。
渡航前に予防接種を済ませる理由は、
- 感染リスクを減らす
- 渡航先で義務とされている場合がある
- 渡航先の医療環境が日本と異なる
- ワクチンの副反応に対応するため
などがあります。
例えば、黄熱病の場合アフリカや南米の一部の地域では、予防接種証明書が入国時の条件となります。
接種スケジュールが間に合わない場合
しかし、赤ちゃんの月齢によっては、定期接種スケジュールが間に合わないこともあります。
この場合は、以下の通りに対策しましょう。
- 早期のスケジュール調整
- 渡航先での予防接種
- 日本国内での特別措置
- 接種証明書を準備
- 医療保険の確認
1.早期のスケジュール調整
まず、渡航が決まった時点で医師に相談し、可能な限り早めに予防接種を進めることが大切です。
一部のワクチンは、通常よりも短い間隔で接種することが可能な場合があるので、スケジュールの調整が可能です。
2.渡航先での予防接種
渡航先でも、必要な定期接種を続けることができます。
ドイツなどの多くの国では、日本と同様に予防接種プログラムが整備されています。
ただし、各国でワクチンの種類や接種スケジュールが異なるため、渡航前に現地の医療機関の情報を確認することが重要です。
3. 日本国内での特別措置
渡航前にどうしても間に合わない場合、日本国内で医師に相談し、スケジュールの変更や、接種の優先順位を検討してもらうことができます。
急ぎの場合は、特定のワクチンを優先して接種する方法もあります。
4. 接種証明書を準備
渡航先では、様々な場面で予防接種の記録や証明書を求められることがあります。
入国手続きや医療機関だけでなく、現地の学校や保育園での入園手続きでも必要な場合があるので、接種証明書は必ず持参していきましょう。
5. 医療保険の確認
渡航先での予防接種費用が、医療保険でカバーされるかを確認しましょう。
一部の国では、海外滞在者が予防接種費用を負担する場合があります。
我が家の接種例(ドイツ)
我が家が渡航前に接種したワクチンですが、
- 大人と長女はA型肝炎を接種
- 次女は日本の定期接種のみ
となりました。
ほかにも狂犬病やダニ脳炎のワクチンを接種するかで悩みましたが、あえて接種しませんでした。(あくまで我が家の判断です)
というのも、海外渡航ワクチン接種の費用は結構かかり、家族全員接種するとなると相当な高額になってしまいます。
どのワクチンを打つべきかどうかは、医師に渡航先を伝えて相談したうえで判断しましょう。
以下に、我が子たちの実例を紹介します。
渡航時は生後7ヶ月
渡航時は生後7か月、帰国時は3歳7か月の次女の例です。
ドイツに滞在している期間中、麻疹・風疹(MR)・おたふくかぜ(以下MMR)の接種スケジュールとがっつりかぶっています。
そのため、MMRの接種はドイツの小児科で行いました。
ドイツの小児科は、夫の赴任先の職場の人に紹介してもらいました。
なお日本脳炎については、推奨期間が3歳からだったので、1回目・2回目ともに帰国後に接種しました。
渡航時は2歳8か月
渡航時は2歳8か月、帰国時は5歳8か月の長女の例です。
ほぼ3歳とカウントして、日本の定期接種は可能な限りすべて打ち終えました。
ただしMMRの2回目接種は、ドイツ幼稚園に入園の際に証明書が求められたので、次女と一緒にドイツで打ちました。
このように、お子さんの年齢と滞在期間を印をつけると、スケジュールが立てやすくなります。
事前に計画をしっかり立てよう
以上のことから、海外渡航前に乳幼児の予防接種を可能な限り済ませておくことは、とても重要であることがわかったと思います。
渡航先の医療水準や病気のリスクは日本とは異なるため、A型肝炎や黄熱病など、日本の定期接種以外のワクチンが推奨される場合があります。
また、現地で予防接種を受けるとなると、言語や医療システムの違いから対応が難しいこともあります。
医療先進国のイメージが強いドイツでも、日本の医療システムとの違いにかなり困惑しました。
接種証明書もできるだけ早めに準備し、安全な海外生活を送るためにもスケジュールを確認しておきましょう。
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