初めての海外生活で「海外には一体どんな人たちが住んでいるのか?」「その国の人たちとうまく溶け込むことができるのか?」など、まだ見ぬ世界に漠然とした不安を感じているのではないでしょうか。
実際に海外は、今まで当たり前に話していた日本語が通じず、食生活も文化も異なる環境で長期間過ごすことになるので、少なからずもストレスを受けやすくなります。
特に初めて駐在(帯同)する方や、海外移住を検討している方は、海外生活で孤独になるのが不安だと、なかなか一歩踏み出せないですよね。
しかしながら、その原因を理解して正しい対処を行うことで、孤独を感じずに海外生活を楽しむことが可能です。
筆者はマイペースな性格で普段も一人でいることが多く、孤独に強いタイプと思っておりました。
そんな私でも、あまりに人と話す機会がなさすぎるとストレスがたまり、次第に鬱っぽくなった時期がありました。
「自分が今、孤独である」ことを自覚できているうちはまだ良いと思います。
そんな時は、自ら積極的に日本の友人や家族に連絡を取ったり、近所に住む日本人の知り合いと会って過ごしていました。
問題は、孤独な状況に慣れすぎて自分が孤独である自覚が無くなってしまうことにあります。
特に海外生活に慣れて生活が単調になってきたころ、誰かと連絡を取るのすら億劫になり、毎日同じ日々の繰り返しになった時期がありました。
孤独の自覚がないまま毎日を過ごしているうちに、何をするにも気力が湧かなくなり、うつ病に近い状態に。
その後、一時帰国をしてしばらく休んだら回復しましたが、金銭面を考えると一時帰国は気軽にできるものではありません。
あの時、駐在中にしっかり孤独に対処しておけばよかったと痛感しております。
筆者自身が駐在を経験して感じた孤独感や、その時どのように乗り越えたのかについてをお伝えしていきます。
駐在先で孤独になりやすい人の特徴
- 語学に対して苦手意識が強い人
- マイペースで単独行動が好きな人
- 人見知りで会話が苦手な人
- 仕事をしていない人
筆者は人付き合いが苦手です。基本受動的なので、自分から人間関係を形成することはありません。
人が嫌いというわけではなくて、自分のペースでたまにかかわる程度で満足するタイプなのです。
日本で住んでいた時は、気が向いた時だけ少数の友達と連絡を取る程度で、普段は家族以外とはめったに交流しませんでした。
特にそれで困ったことも、孤独を感じたこともなく気楽に過ごしておりました。
しかし、海外生活で孤独になりすぎると、かえって自分を苦しめることになります。
- 貴重な海外生活情報を共有できない
- うつ病を発症するリスクがある
- 子供の交友関係に影響する
孤独になりやすくなるタイミング
そう、注意すべきは駐在生活に慣れきってパターン化した時期です。
海外生活に慣れてくると「1人でいるのが気楽」「生活がパターン化してきた」「外国人と話すのが大変」などの理由で、段々人との関わりを避けるようになりました。
また、人間関係だけでなく、油断してスリなどの事件に合いやすくなるのも注意!
駐在妻・駐在ママが孤独になりやすい理由
海外生活の孤独のワナは、言葉が通じないという理由で自分から社会との関わりを避けていると、さらなる悪循環へとハマっていきます。
駐在生活の年月が経つにつれ、近所の顔見知りや子供の幼稚園・学校関係などで、親密に関わる人が増えていきます。
しかし、日本にいる時のように言葉が通じるわけではありません。
実は周囲との関わりが増えて密接になるほど、孤独を感じやすくなるのです。
なぜこのような事態になりやすいのか、一つ一つその原因を解説していきます。
原因1:言葉や文化の壁
- 外国人と思うようなコミュニケーションが出来ない
- 語学に自信がないため交流を避けるようになる
- 相手に嫌な顔をされるたびに凹む
前述したとおり、一番にあるのは言葉の壁です。
海外赴任となると絶対に避けられないもので、語学に自信がなく人付き合いも苦手な駐在妻さんに多い悩みだと思います。
意外にも海外の人は初対面の人に対して気さくな人が多く、道で出会ったばかりの人に対してもフランクに話しかけてきます。
ですので友達になる最初の敷居はさほど高くはないのですが、言葉の壁が原因で思うようなコミュニケーションが取れません。
相手と親しい人間関係を築くには、ある程度の語学力とコミュニケーション力が求められるので、それが思うようにいかず悩んでしまうことは少なくありません。
日本人同士の付き合い方と、外国人との付き合い方。
アイコンタクトや挨拶の仕方でも違いがあるので、初めのうちは色々と戸惑うことが多いと思います。
決して数は多くないですが、外国人のお友達ができたという事実は、私にとってかけがえのない経験です。
外国人のお友達を作るポイントは、下記で紹介いたします!
原因2:子供に関する人間関係の悩み
特に幼児期のお子さんは、親の交友関係が影響しやすいものです。
本来であれば子供同士で遊んでもいい年ごろなのに、いつも公園で遊ぶのは母子だけ。
「自分にママ友がいないせいで、子供の遊び相手がいないのでは?」と自己嫌悪に陥りました。
外国人のママ友や先生との関係作りが難しい!
子供が幼稚園に通いだすと、先生とのコミュニケーションが必要になります。もちろん英語(または現地語)での会話です。
1年がかりでようやく入れた幼稚園。しかし、そうスムーズにうまくは行きませんでした。
なんと、当時3~4歳だった長女も、海外の幼稚園を嫌がるようになりました。
私だけでなく子供にとっても、母国語が異なる環境で友達関係を構築するのは簡単なことではありません。
もちろん中には、言葉が違ってもすぐ仲良くなれるお子さんもいらっしゃいます。
しかしわが子の場合はかなりのサポートが必要でした。
幼稚園から送られてくる動画は、輪に入れず孤立する子供の姿が…。
そこでママ友作りの前に、まずは先生との信頼関係を構築することに努めました。
幸い先生たちも、私たちの言葉が通じないことを配慮した上で対応してくれました。
口頭で意思疎通が困難であれば、SNS(ちなみに海外ではlineよりもWhat’s upが主流)を通じて筆談し、時には英語が話せる夫を通じて懇談をしました。
それでも普段は、送迎や先生とのやり取りの中心は筆者なので、日常生活だけでもかなりストレスは大きかったです。
原因3:家に引きこもりがちになる
- 外出時は安全面のリスクがある
- 海外での子連れの外出は何かとハードルが高い
- 雨の日はどこにも行くところがない
治安が良いと言われているドイツでも、日本と比べればやはり危険なのです。
油断をしていればスリに合うし、薬物中毒の人やホームレスも頻繁に見かけます。
また、子供連れで外出をすると、見知らぬ人に声をかけられることがよくあります。
純粋に可愛がってくれるだけの人が大半ですが、中にはいい人を装った犯罪を狙う人がいるのも事実。
トイレもコンビニもないので、子連れでの外出はとても苦労しました。
さらに、我が家は乳幼児が2人なので、2人同時に見守ることが難しい場面もあって、大人一人で公園に連れて行くのが大変でした。
駐在中の孤独感を乗り切る5つの対処法
- 語学学校に通う
- 友達とマメに連絡を取る
- 夢中になる趣味や仕事を見つける
- 細かいことは気にせず前向きに人と関わる
- 買い物や観光でリフレッシュする
対処法1:語学学校に通う
駐在妻さんたちに一番オススメな、海外で孤独を乗り切る対処法がこちらです!
- 新しい文化交流ができる
- 学生同士で外国人の友達ができる
- 海外生活に自信がつく
筆者はドイツの市民語学学校に、ドイツ語コースを2年間通いました。その結果、外国語でのコミュニケーションに自信が持てるようになりました。
学校に通うことで、外出をするきっかけになり、引きこもりがちな生活にもメリハリができます。(コロナ中はオンラインでしたが;;)
日常生活上の最低限の言葉を使えるようになり、生活面でも友達作りでもいいことづくめ。
興味がある方は、お住まいの地域で「VHS deutschkurse」と検索して探してみてください。
※ドイツ語だけではなく英語の授業が受けられるクラスもあります。
筆者は日本でも、英会話スクールレッスンを受けたことがありますが、正直言って授業のレベルはドイツの市民学校のほうが断然高いです。しかも安い。
また、生徒も皆自分と同レベルのドイツ語からスタートするので、お互いに仲良くなりやすいというメリットもあります。
対処法2:友達とマメに連絡を取る
もし寂しさを感じたら、誰かに連絡を取ってみましょう。
連絡を取る相手は日本に住む友達でもいいですが、できれば近所に住む日本人のお友達を作ることをおすすめします。
まずは日本人の知り合いを作ろう
- 日本語補習授業校で知り合う
- 夫(妻)の職場同士で知り合う
- 外出先でたまたま知り合うことも
駐在先の日本人コミュニティは狭いですが、その分結束も強く親切な人が多いです。
その理由は、相手も同じ日本人の友達を求めていることが多いからではないかと思います。
日本語補習授業校
お子様がいらっしゃる家庭で、駐在先の日本人の知り合いが欲しい場合は日本語補習授業校に入校するのがおすすめです。
補習授業校(ほしゅうじゅぎょうこう 略称 補習校)とは、普段の学校教育ではカバーしきれない内容を、特定の日に補習授業として行う学校。
日本人人口が少ない地域、また人口が多くても現地校に通う子どもの比率が高い英語圏、永住予定者が多いアメリカ合衆国、インターナショナルスクールに通う子どもの多いアジア・ヨーロッパの一部地域などでは、全日制の日本人学校に代わって、平日の放課後または週末に国語を中心とした補習的内容の授業を行う補習授業校が多く存在する。補習校を併設する日本人学校もある。
Wikipediaより引用
ただし、入校には学費がかかることや、PTA参加義務があり行事などに時間を割かれるため、あえて入校をしない人もいます。
夫(妻)の職場で知り合いを作る
配偶者の赴任に帯同した場合、職場の家族同士は境遇が似ているので、共通の話題が多く仲良くなりやすいです。
特に家族構成が似ていて近所であれば、互いに協力しあって遊びに行ったり情報共有ができる心強い駐在仲間になります。
外出先で知り合う
もし外出先で偶然日本語が聞こえたら、思い切って話しかけてみましょう!
「日本から来た方ですか?」「いつから住んでいらっしゃいますか?」「日本でのご実家はどちらですか?」といった具合で声をかけて、そのまま意気投合して友達になれたことがあります。
対処法3:夢中になれる趣味や仕事を見つける
たまに友達と付き合うのはいいけど、1人で過ごすのが好きな人におすすめなのがこちら。
趣味や仕事や勉強など、何かに夢中になっていると、孤独を感じにくくなります。
個人的には趣味よりも在宅ワークがオススメ。
その理由は、時間をお金に換えられるうえ、帰国後もそのスキルを活かせるからです。
海外赴任帯同者の多くは日本で退職しますが、今の時代は海外でも在宅ワークをすることが可能です。
- ブログ執筆
- 動画制作
- イラスト・漫画制作
- アンケート
海外経験を活かしたブログ記事の執筆をしている人は多くおります。
また、動画やイラストなどのクリエイティブなお仕事も在宅ワークと相性がいいのでおすすめ。
何から始めればよいかわからない方は、まずクラウドソーシングで仕事を探してみましょう。
はじめのうちは特にスキルがなくても、記事の執筆やアンケート回答で報酬が貰えます。
色々な仕事を探しているうちに、自分の思わぬ得意分野を発見できるかもしれません。
対処法4:細かいことは気にせず前向きな気持で人と関わる
語学が苦手だと「相手から嫌われているかも」「迷惑と思われているかも」と思い悩むかもしれません。
実際に、色々な外国人と話をする場面がありましたが、言葉が通じなかった時の反応は人によって様々です。
めんどくさそうに話を切り上げる人もいれば、一生懸命理解しようとしてくれる人もいます。
言葉の壁にぶち当たるたびに傷つき、自信を失いがちです。
しかしながら、自分が外国語が話せないという事実は、どうあがいても変わりません。
大切なことは、卑屈にならず前向きな気持ちで関わっていくことです。
言い換えれば開き直りが大事。
稚拙な表現でも構わないので「あなたともっと仲良くなりたい」「あなたと関われて嬉しい」という気持ち込めれば、必ず相手にも伝わります。
反対にどうせ伝わらないからとこちらから諦めると、相手との距離は離れていく一方です。
また、伝えたいけど伝えられなかった表現は、その日のうちに調べて覚えましょう。
その積み重ねによって、徐々に外国語でのコミュニケーションが取れるようになります。
対処法5:買い物や観光でリフレッシュする
最後に、孤独を感じた時こそ、おひとり様を楽しみましょう!
どうしても人と会いたくない時は、無理に人と付き合わずに1人を満喫してみましょう。
せっかく海外に住んでいるのですから、家で過ごすだけなのはもったいないです。
上記したとおり治安は日本より安全ではありませんが、貴重品の管理に注意して危険な場所に近づかなければ問題ありません。
カフェ巡り、美術館巡り、ショッピングモール巡りも楽しいですし、身近なスーパーやドラッグストアーで珍しいものを探してみるのもオススメです。
遠出する時間がなければ、すぐ近くにあるカフェでコーヒーとケーキを楽しむだけでもリフレッシュになりました♪
まとめ
でも、語学学校や現地の友人、自分の心の在り方次第で状況は変えられるし、自分自身の成長にもつながったと感じています。
人付き合いが得意な人でも苦手な人でも、孤独を感じるのは誰にでも起こりうることです。
ましてや住み慣れない海外では、不安やストレスが溜まりやすいので一層メンタルケアが重要になってきます。
ここで大切なのは、自分が孤独であることを自覚することと、それを抱え込まないことです。
この記事で紹介した方法を試しても解決しない場合は、思い切って一時帰国を考えてみてもいいと思います。
日本という安心できる環境に戻って初めて、自分の心の状態に気づける可能性があります。
でもその前に、まずは家族や近くにいる友達に相談をしてみたり、自分自身を労わるよう心がけてみてください。
海外という大変な環境の中で生活をしているというだけで、とても頑張っているのですから。