今回のテーマは「帰国後うつについて」です。
テーマが重くてごめんなさい!
本来はもっと、楽しい海外生活についての内容を書きたいのですが、Instagramのweb漫画とブログの更新が止まってご心配をおかけした読者様もいらっしゃると思い、先に書こうと決めた次第です。
さて、本題に入りますが、駐在者がうつ病になることは決して珍しいことではないようです。
私は3年間の駐在生活から本帰国をした後、心療内科を受診した結果、うつ病&不安障害と診断されました。
駐在中にうつ病になって途中で帰国するパターンもあれば、私のように帰国後に発症するパターンもあります。
今回の記事では、不安障害や治療経過については割愛しますが、この経験に基づき駐在者のうつ病について紹介したいと思います!
「海外生活=うつ病になる」わけではない
先に申し上げておきますと、うつ病になりやすい人が海外生活によってうつ病になる確率は、一般的には高まると考えられますが、一概に「高確率」でうつ病になるわけではありません!
うつ病の発症には、個々の状況や環境による様々な要因がからんでいます。
海外生活者の場合、具体的には以下の要素が影響していると考えられます。
- 環境の変化とストレス
- 周囲のサポートの有無
- 個人の適応力&ストレス耐性
- うつ病の既往歴
- 赴任先の生活環境や状況
うつ病発症の主な要因
それぞれについて詳しく解説していきます。
環境の変化とストレス
異なる文化、言語、生活習慣への適応は大きなストレス要因になります。
例えば、日本で手軽に手に入る食材が買えない、トラブルに現地語で対処ができない、スーパーが日曜日に開いていないetc…。
これに適応できない場合、ストレスが増加し、うつ病のリスクが高まります。
周囲のサポートの有無
現地でのサポート(友人、家族、コミュニティ)がない場合、孤独感や孤立感が強まり、精神的負担が増します。
個人の適応力&ストレス耐性
個々の適応力やストレスに対する耐性により、同じ環境でもうつ病を発症するリスクは異なります。
例えば、同じ環境下にいた駐妻友達は、環境の違いを楽しんだり、積極的に語学を学んで現地に溶け込んでおりました。
元々英語が得意だったり、語学が苦手でもコミュニケーション力が得意な人は、海外生活にも適応しやすいと言えます。
うつ病の既往歴
既にうつ病の既往歴がある場合、再発のリスクは高まります。
赴任先で心療内科にかかるのも日本に比べると敷居が高いため、海外赴任中は対応が遅れがちになります。
赴任先の生活環境や状況
赴任先の海外生活の状況(仕事のプレッシャー、生活の質、安全性など)によってもリスクは変動します。
過酷な環境ではリスクが高まりますが、良好な環境では逆にリスクが低下することもあります。
ドイツは比較的治安はよく、衛生環境も良好でしたが、発展途上国に駐在した友人はやはり大変だったようです。
海外赴任でうつになりやすい人の特徴
以下の特徴に当てはまる人は海外生活においてうつ病になりやすいと言えます。
- 社交性が低い人:新しい環境で友人やサポートネットワークを築くのが苦手な人は、孤独感や孤立感を強く感じやすい。
- 適応力が低い人:異なる文化や生活習慣に適応するのが難しい人は、日常生活で常にストレスを感じやすい。
- 言葉の壁に苦しむ人:現地の言葉を理解できず、コミュニケーションが困難な人は、日常生活や社会活動でのストレスが増し、うつ病のリスクが高まる。
- 高い期待を持っている人:海外生活に高い期待を抱き、それが満たされないと大きな失望感やストレスを感じる人は、うつ病になりやすい。
特にありがちなのが4番目の「高い期待を持っている人」です。
海外生活を知らない人にとって、外国は不安もありますが憧れや期待感を強く抱く人は少なくありません。
しかしそれは、①~③をすべてクリアしているからこそ、期待が満たさせるものであります。
それができない自分に対して失望感を抱きやすく、ストレスが蓄積してうつ病を発症しやすくなります。
私が「うつ病」になった経緯
ここまで記事を読むと、海外赴任にネガティブなイメージを持ってしまうかもしれませんが、海外生活自体はとても楽しかったです。
特に駐在2年目は生活に慣れはじめ、旅行を楽しんだり語学学校でドイツ語を覚えたりと充実した毎日でした。
語学学校を通じてできたクラスメイトや、近所の人との関係も良好で、帰国するのが惜しいと感じるほどでした。
日常生活における買い物でも、現地のお店の人とちょっとした雑談ができるようになり、とても楽しかったです。
では、なぜうつ病になってしまったのかというと、主に子供の幼稚園関係者との関わりが原因にあったと思います。
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Mia ドイツ・ベルリン元駐在ママのみあです! 2019年に夫の海外赴任でドイツの首都ベルリンで3年間海外生活を経験しました。その際、当時3歳と1歳の娘を現地幼稚園へ入園させました[…]
言葉の壁は大人だけでなく、子供たちにも立ちはだかりました。特に4歳以降の子供の友達関係作りには、両親のサポートが必要です。
友達同士の交流を深めるために、クラスメイトの親と仲良くなり、放課後も気軽に遊べる関係作りをするよう担任の先生に勧められました。
しかし、元々人見知りなうえ語学力が不十分な私にとって、それは無理難題であり苦痛以外の何物でもありませんでした。
毎日避けたくても避けられない付き合いが辛いにもかかわらず、その気持ちに蓋をし続けた結果、うつ病になってしまいました。
うつ病にかかっている間は、眠りたくても眠れない日々が続き、昼間は起きたくても体がまったく動かない日が続きました。
日中はずっとベッドで寝込み、簡単な日常生活すらろくに送れず、家族にも申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
また、私は同時に不安障害と診断されたのですが、日常の事、将来のこと、子どものこと全てが、何か悪いことが起こるのではと不安でいっぱいになりました。
本帰国後、心身の不調を自覚してから心療内科に通い、服薬治療を1年以上続けてようやくもとの日常生活を送れるようになりました。
もっと早く帰国をして治療をしていれば、回復も早かったのですが、そこが海外赴任の難しい所ですね。
海外赴任でうつ病にならないために
必ずしも「海外赴任=うつ病になる」というわけではないことがおわかりいただけましたでしょうか。
日本にいるよりも、リスクは高まる傾向はありますが、個人の特性や環境によることが多く占めております。
私の場合、個人としてもうつ病を発症しやすい特徴に当てはまっており、その上幼稚園での人間関係が絡んでいたのが大きな要因でした。
恐らく幼稚園が無ければ、大きな悩みもなく海外生活をエンジョイできていたと思います。
しかし幼稚園での人付き合いは避けられることではなかったので、その逃げられないストレスの蓄積がうつ病を引き起こしてしまいました。
Instagramでも海外生活の様子を伝える気持ちの余裕もなくなり、ブログもしばらく更新が止まってしまい、読者の方々に本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
海外生活がつらいと感じた時点で、一時帰国をするかしないかの選択は、うつ病にかかっている本人には難しいものです。
今思えば、もっと友人のコミュニティを広げて頼ったり相談したりすればよかったかもしれません。
それでもどうしようもない状況になった時は、うつ病を治すための帰国という選択も時には必要です。
それは決して逃げではなく、心身の健康を守るために必要な手段なのです。
海外生活は大変なことも多いですが、日本では経験できない楽しいことが本当にたくさんありました。
日常が全て非日常的であり、帰国した今でもこの経験は人生における大切な糧となっております。
その中で、逃げ場のないストレスに合うことは少なくありません。
ひとつは自分の心の持ち方「自分を責めない・頑張りすぎない」、もう一つは「周りのサポートを得る」、それでもだめなら「帰国も選択肢に入れる」。
そして万が一、うつ病になってしまったとしても、早めに治療をすれば私のように回復することも可能です。時間はかかりますが必ず治療できます。
ここまでお読みいただきありがとうございました!